理事長所信


理 事 長 所 信

 

第50代理事長 高橋 太朗

 

はじめに

 箕面のまち、特に東部には、大阪大学の外国語学部や関西学院千里国際高等部といった、外国籍の学生を大勢受け入れている学校があり、その関係者である外国籍市民がたくさん居住しています。さらに昨年、関西圏が国家戦略特別区域として指定され、またその規制改革事項において外国人の受け入れを促進する内容が盛り込まれていることから、これからの箕面のまちづくりを考慮するにあたって外国籍市民の増加は想定してしかるべき事柄となってきております。

 この変革期の中だからこそ、一般社団法人箕面青年会議所(箕面JC)が果たすべき役割の中で核となるのは、「明るい豊かなまちづくり」の原点となる「人」づくりであり、小さなことから大きなことまで、これからの箕面のまちづくり運動・活動を先駆けていける、真のリーダーたるJAYCEEを、一人でも多く輩出することであると考えます。

 

私が青年会議所運動・活動をする原点

私は日本国籍の父とフィリピン国籍の母に命を授かった日比混血児です。80年代半ば頃より興行ビザでの来日者が急増し、今でこそ日比混血児は珍しくなくなりましたが、私が幼少のころはまだまだ数が少なく、また興行ビザやフィリピンという国のイメージから、他人どころか身内からも後ろ指をさされることが少なくなかった事を記憶しています。その影響によって、自分は混血児であるという事が確かな自己として確立され、いわゆる純粋な日本人とは異なる存在である事を意識するようになり、その事がいつしか「混血児である自分に出来ることは何なのか。何か果たすべき使命があるのではないのか」という自己への問いかけとなって、心に宿すようになりました。そして青年となり社会経験を積み重ねた現在に至り、ようやく出した結論は「外国籍の人たちが日本人と仲良く暮らしていける社会を作っていく」という非常にシンプルなものでした。

以来、私が経営している会社の理念はもちろん、日常生活においてもこの事を意識しない日はなく、箕面JCにおいてJC運動・活動をするうえでも大切な道しるべとなっています。

 

箕面のグローバル化

 一昨年の政権交代、また昨年の2020年東京オリンピック開催決定の影響もあって、閉塞感が漂って久しいわが国においても、近年には見られなかった変化が生じ始めています。それは求人倍率の上昇であり、それにともなう賃金の上昇、そしてそれを補う外国人労働者の増加。また円安ならびに周辺諸国の経済力上昇、さらに東南アジアの一部諸国に対する観光ビザの解禁の影響などによって、訪日外国人数そのものも、前年比伸び率が一昨年度24%、昨年度も8月時点で25%と、かつてない勢いで増加しています。

 わが国において、グローバル社会、あるいはグローバル化という言葉を耳にして久しいですが、その言葉が意味するところは、わが国から外に出ていくというものである場合がほとんどであり、逆に外からわが国に受け入れていくというものである場合は希少です。しかし近代先進国が指標する真のグローバル社会とは、ボーダレスな社会であり、一方的に発信するだけのものではない事は、環太平洋経済連携協定を推進している事からも明白です。わが国が、今後のこうした世界秩序において、リーダーの一角として継続して発展していくためには、グローバル化を避けて通る事は最早できないと言えます。

 この箕面のまちには、周辺の市町村と比較すると多様な外国籍市民の方が生活を営まれています。彼らの中には箕面に移住され、その当初に生活全般、特に言葉や習慣、宗教、文化の違いに悩まされた方も少なくありません。箕面市などの取り組みにより、生活に関わる表示に英語を併記したり、本人が日本語学習を進めたりすることにより、言葉の壁を薄くする事は可能です。また、箕面での生活が長くなれば、自然と箕面の習慣や文化についても理解が深まっていきます。

 しかし受け入れる側の私たち箕面市民はどうでしょうか。彼らの言葉や習慣、宗教、文化についてどれだけ理解しているのでしょう。彼らと生活を共にしていない私たちの多くは、箕面での生活について自然に理解を深めていく彼らを、遠巻きに眺めているだけ、あるいは見向きもしていないのではないでしょうか。箕面のまちがグローバル化を迎える中で、私たち市民はこのような受け身な姿勢を改め、もっと能動的に彼らの事を理解していかなくてはなりません。箕面JCは、箕面市民の皆さまが外国籍市民の皆さまの言葉や習慣、宗教、文化を能動的に理解していけるような変革を目指した、まちづくり運動・活動に取り組んでまいります。

 

率先して動きだせる“人”づくり

すべてのまちづくり運動・活動は“人”が動き出して始まります。私たちが生活する中で見聞きする様々な社会的な問題について、ああすればいいのではないか、こうすればいいのではないか、と思いを巡らせることは決して少なくありません。しかしそれを実行に移すとなると、逆にその数は圧倒的に少なくなってしまいます。

私たちJAYCEEは、まちのリーダーたらん事を標榜しています。議論を交わすだけの、文字通りの「会議所」である事を標榜しているわけではありません。たとえそれが誰もが思いつくような事であっても、それを誰よりも先に実行に移せる人間でなくてはなりません。そのためには普段の心構えが大切です。

箕面JCは、まちづくり運動・活動、そして毎月の定例会を通して、真のリーダーたる心構えを持ったJAYCEEを育み、これからの箕面における、明るい豊かなまちづくり運動・活動のリーダーとなれる人材を輩出してまいります。

 

信頼できる仲間づくり

 私たちは一人ひとりが率先してまちづくりに取り組むJAYCEEでありますので、個々においては常に一人で先頭を駆け続ける不安と共にあるものです。しかし私たちには辿る道は違えども同じ「明るい豊かなまちづくり」を目指す仲間が箕面JCにいます。壁にぶつかったとき、不安に押しつぶされそうになったとき、駆けるのをやめてしまいたくなったとき、同じように頑張っている仲間がいる事はとても強い心の支えとなります。

 箕面JCは、真のリーダーたるJAYCEEがその務めを果たしていくために、お互いがお互いを生涯支え合っていける信頼できる仲間として認められるよう、会員の交流事業に取り組んでまいります。

 

まちづくりのリーダーとなれる人間が集まる場所

 今年度の箕面JCの活動は34人でスタート致します。34人のJAYCEEが真のリーダーとなる事が出来れば、34通りのアプローチで明るい豊かなまちづくり活動に取り組む事が出来るようになります。しかし明るい豊かなまちづくりのために着手できる事は無数にあり、34通りよりも44通り、それよりも50通りと、数を増やせば増やすほど、明るい豊かなまちづくりの実現に近づく事が可能です。

 箕面JCは、明るい豊かなまちづくりに率先して取り組める想いを持った人間を、一人でも多く集め、育成します。そして一人でも多くのまちづくりのリーダーを箕面のまちに輩出するために、メンバーの拡大に取り組んでまいります。

 

子供の心身を育む

私たちが暮らす箕面のまちは、児童の学力水準が全国トップレベルである事で知られていますが、一方では運動能力水準が、全国的に見て低水準である事が問題視されています。古くより、健全な精神は健全な肉体に宿ると言われるように、明るく前向きな子供を育成するためには、まず健全な肉体を育まなくてはなりません。

箕面JCは、次代の明るい豊かなまちづくりを担う次世代の子供たちを対象に、心身を育むきっかけとなる事業に取り組んでまいります。

 

規則・規律を重んじた組織づくり

 メンバーが一丸となって目的を達成するべく取り組んでいくために、確固たる規則に基づいた規律正しい強固な組織づくりが肝要となります。メンバーの一人ひとりが、箕面JCがこれまで築き上げてきた規則・規律を尊重し順守することは、お互いの自由・個性を尊重する事に直結します。

 箕面JCは、メンバーの一人ひとりが気持ちよく、明るい豊かなまちづくりを実行していけるように、規則・規律を重んじた組織づくりを行ってまいります。

 

 最後に、この一年を通して箕面JCから生まれる新たなリーダーたちが、将来にわたって箕面を明るい豊かなまちへと発展させていくために、尽力してまいります事をここにお約束して、私の所信の締めとさせていただきます。

 

 

「スローガン」

 誰よりも先に! 誰よりも先へ! ~JAYCEEよ、真のリーダーたれ!~

「基本理念」 

 リーダーだから先頭を走るのではなく、先頭を走るからリーダーなのだ。

「基本方針」 

 失敗を恐れず、どんな事にでもまずは取り組もう!

 

「行動指針」

①箕面市民が外国籍市民の生活や文化を積極的に理解していくための事業の実施

②明るい豊かなまちづくり運動・活動に率先して取り組めるメンバーの拡大

③真のリーダーたるJAYCEEを育む定例会の実施

④メンバーの交流を深められる事業の実施

⑤子供たちの心身を育む事業の実施

⑥率先して青年会議所運動・活動にあたれる組織づくりの実施